【漫画の紹介】「障害のある子を手放した母親」の私のストーリー
「あの、実は私、『障害のある子を手放した母親』なんです・・・・」
この本には、明るくて、前向きで、優しい、太陽のようなお母さんは登場しません。「私の体験は本にするのにはふさわしくないと思う・・」と語る筆者に対して、編集者は「ポジティブになれないお母さんのための本を書いてほしいという」と説得。公には語りにくい過去を振り返って、傷つきながら、痛みと向き合いながら、ていねいに綴ったコミックエッセイです。
障がいのある子を捨てた私
幼少時に事故で父親を亡くした筆者は、「慎ましくも幸せな家庭」に強いあこがれを抱いて23歳で結婚します。不妊治療を経て妊娠。夫と娘との3人で幸せな家族を作りたいと願っていました。
しかし、娘が成長するにつれて、様子がおかしいことに気がつきます。診断の結果「広汎性発達障がい」だと診断され、理想の家族像と現実の生活が一致せず、少しずつ筆者の心が引き裂かれていきます。
「『わが子が可愛くない』は世間では完全なタブー。こんなこと誰にも言えない」
「療育センターで会うお母さんたちは、どうしてあんなに前向きなんだろう」
「ドラマでもマンガでもお母さんは決まって「明るく前向き」。前を向けない私はパソコンに向かう。」
「『発達障害』で検索・・・結局、それしかする気になれないのだ」
子育ての悩みから「鬱」状態へ
筆者が「鬱」と診断された頃は、子育てのことで思い悩み、常にストレスフルな精神状態が続いていました。そして、深夜のネット徘徊による睡眠不足が続き、生活リズムが乱れたことが「鬱」に拍車をかけます。
「心を病んでもおかしくない状況にあったのかもしれません。」
「でも、そこへ拍車をかけたのは、私のマイナス思考と熱中しやすい質。そして「インターネット」だったように思います。」
「この頃の私は、ネガティブな情報にだけ焦点を当てていました。」
「『広汎性発達障害=不幸な人生』と一方的に設定し、その設定に当てはまらないものはシャットアウトしていたのでしょう。」
不倫、離婚、娘と離れて暮らすことを選択した筆者
子育ての悩み、実母との葛藤、夫とのスレ違い。そして、鬱病。
思い描いていた理想の家族と、目の前の現実が一致しないことに耐えられず、夫とは離婚をして、娘は夫の実家で暮らすことになりました。
「世間が望むのは別れた子を想い、自分を責めながら泣き暮らす母親」
「でも、私は『娘はどうしてるかな』と思うことはあってもさめざめ泣いたりはしない」
「理性、道徳、自尊心・・・そんなものはとっくに捨てた」
「どうせ私は『不倫に走って障害のある子を捨てた最低の母親』」
子どもが不幸かどうかは、親が決めることではない
この本について筆者は、体験談は個人的なもので「すべての発達障がいの子どもの母親に結びつくものではない」ことを強調し、「每日奮闘しながら、楽しみながら、愛情いっぱいに子育てをされているお母さんが大半であることをご理解いただきたい」と語ります。
その上で、自分自身の過去を振り返ります。
「子どもが不幸かどうかは、親が決めることではありません。」
「私は『今』に目を向けず、いつも『先』ばかり見ていました。」
「そうすることで余計に不安になっていたのですから、本末転倒ですね。」
「今、目の前にいる子どものひとときを大切に過ごすこと」
「その一瞬の積み重ねがすべての子育てに通ずる道であると、あの頃の私に教えてあげられたらと思います。」
お父さん、お母さん、保育士さん、ご家族や支援者の方、すべての発達障がいに関わる人達にお手にとって頂きたい一冊です。
[amazonjs asin="4167906260" locale="JP" title="娘が発達障害と診断されて… 母親やめてもいいですか (文春文庫)"]




